この記事は「環境認識」シリーズの基礎編です。考え方の全体像は 環境認識の考え方|「どう考えるか」を体系的に学ぶロードマップ にまとめています。
グランビルの法則は、移動平均線と価格の位置関係から売買のタイミングを分類した、買い4つ+売り4つの計8パターンです。ほとんどの入門書に載っている有名な法則ですが、「8つ暗記したのに、実戦でどれを使えばいいか分からない」で止まる人が多い理論でもあります。
結論を先に言うと、8つ覚える必要はありません。使うのは、トレンド方向の押し目・戻りにあたる2つだけです。この記事では、なぜ2つに絞るのか、その2つをどう使うのかを整理します。
グランビルの法則(買い側)を推進5波に重ねた図。②は2波の深い押し、③は4波の浅い押しに対応する結論:8つ覚えない。使うのは「トレンド方向の押し目・戻り」2つだけ
グランビルの法則で実戦に持ち込むのは、上向きの移動平均線に価格が押してくる場面(買いの法則②③)と、その鏡像である下向きの移動平均線への戻り(売りの法則②③)だけです。トレンドに逆らう「乖離からの逆張り」(④⑧)は使いません。そして法則が教えてくれるのは「場所」だけなので、反発の確認は別に行います。
この記事の要点は次のとおりです。
- グランビルの法則は買い4つ+売り4つの8パターン。ただし暗記は不要
- 使うのはトレンド方向の押し目・戻り(②③)だけ。逆張り系(④⑧)は捨てる
- 「どの移動平均線で見るか」は法則より先に決める。基準はEMAの規則性
- 法則は「場所」しか教えない。反発の確認は別途必要
全体像:買い4つ+売り4つの分類
まず全体を一度だけ眺めます。買いの4法則は、①下向きから横ばい〜上向きに変わった移動平均線を、価格が下から上へ抜ける/②上向きの移動平均線まで価格が押して反発する/③上向きの移動平均線の手前で押しが止まり再上昇する/④下向きの移動平均線から価格が大きく下に乖離して自律反発する——の4つです。売りはこの上下を逆にした鏡像で、合計8パターンになります。
整理すると、8つは3種類に分けられます。トレンドの入口(①)、トレンド方向の押し目・戻り(②③)、逆張り(④)。この分類で見ると、8つの暗記が急に不要になります。考えるべきは「どの種類を使うか」だけだからです。
なぜ2つだけなのか:入口と逆張りを捨てる理由
④の逆張りを捨てる理由は明確です。移動平均線から大きく乖離した場面は、強いトレンドが出ている場面でもあります。「そろそろ戻るだろう」は、当ブログで繰り返し書いてきた「200EMAの下での買い」と同じ構造で、優位性の根拠が「乖離しすぎ」という感覚しかありません。反発したとしても、それはトレンドに逆らうポジションです。
①を積極的に使わない理由は、ブレイク直後と同じ問題を抱えるからです。移動平均線を上抜けた瞬間は、それが定着するかまだ分かりません。200EMAの上抜けで飛び乗らないのと同じ理屈で、①は「環境が変わったかもしれない」というサインとして観察に留め、エントリーは次の押し目——つまり②③まで待ちます。
残った②③は、要するに押し目買い・戻り売りそのものです。上向きの移動平均線が下から支えに来る場所で、トレンド方向に入る。グランビルの法則の実用部分は、結局いつもやっていることと同じ場所に着地します。
使う2つ:②と③の違いは「押しの深さ」
②は移動平均線まで届く押し、③は手前で止まる浅い押しです。この違いは、フィボナッチの記事で書いた「押しの深さ」の話とそのまま重なります。浅い押し(③)で反発するのは、深い押しを待てないほど買い意欲が強い相場。移動平均線まで届く押し(②)は標準的な調整です。
実戦での使い方も同じです。移動平均線を「点」ではなく「ゾーン」として扱い、水平線やフィボナッチの水準と重なる場所を待つ。②と③のどちらが来るかを当てる必要はなく、「上向きの移動平均線の周辺が押し目候補のゾーンになる」と理解しておけば十分です。
どの移動平均線で見るか:規則性が先、法則は後
グランビルの法則を実戦に持ち込むとき、最初につまずくのがこれです。25EMAで見るのか、75EMAか、200EMAか。同じチャートでも、どの線を使うかで②の場所が変わってしまいます。
答えは「そのチャートが、どのEMAを規則的に支えにしているか」を先に確認することです。過去の押し目が25EMAで何度も反発しているなら、そのトレンドの押し目候補は25EMA。75EMAまで押すのが規則なら75EMAです。法則をどの線に当てはめるかは、法則自体からは出てきません。チャートの過去(左側)が教えてくれます。
この「規則性を見つけてから法則を使う」という順番は、EMAの規則性を見つけるで詳しく書いています。グランビルの法則は、規則性という土台の上で初めて機能する道具です。
「使えない」と感じる理由:法則は場所しか教えてくれない
8つ覚えたのに勝てない、という声の原因はここにあると思っています。グランビルの法則が教えてくれるのは、「押し目候補の場所」までです。その場所で本当に反発するのか、それとも割り込んでいくのかは、法則の守備範囲外です。
当ブログの環境認識は「方向→場所→確認」の3段階です。グランビルの法則②③が担当するのは、フィボナッチと同じく2段目の「場所」だけ。方向は200EMAとダウ理論で先に決まっていて、場所に価格が来たら、反発の確認(下げの失速、安値の切り上げ、ローソク足の反発)を待ってから入る。法則を「そこで買うルール」ではなく「そこで待つ場所のリスト」として使う——これが「使えない」を「使える」に変える転換です。
まとめ
グランビルの法則は8パターンありますが、暗記は不要です。トレンドの入口(①)は観察に留め、逆張り(④)は捨てる。使うのは、上向きの移動平均線への押し(②③)と、その鏡像の戻り売りだけです。
そして、どのEMAで見るかは規則性が決め、その場所で入るかどうかは反発の確認が決めます。法則は場所を教える道具であって、エントリーの合図ではない。8つの暗記から「2つの場所」へ——それがこの法則との現実的な付き合い方です。
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