前回の記事では、ロット管理の基本式を解説しました。
👉 ロット管理の考え方|損切り幅とリスク額からロットを逆算する
ロット管理ができたら次に考えるのが、「そのトレードは長期的にプラスになるのか」ということです。
- 期待値プラスのはずなのに、なぜか勝てない
- 連敗で資金が大きく減ってしまった
- 勝率が高いのにトータルで負けている
これらはすべて、期待値だけ見て破産確率を見落としていることで起きる問題です。
期待値がプラスでも、勝率・RR比・リスク%のバランス次第では破産する可能性があります。
この記事では、期待値の計算方法と、バルサラの破産確率を使った資金管理の考え方を解説します。

結論|期待値と破産確率はセットで考える
トレードの優位性を判断するには、期待値と破産確率の両方を見る必要があります。
- 期待値:1回のトレードで平均いくら勝てるか
- 破産確率:その勝率・RR比・リスク%で資金を失う確率
期待値だけ見ると見落とすことがあります。
期待値プラスでも破産確率が高ければ、長期的に勝てない可能性があります。
期待値の計算方法
期待値の計算式はシンプルです。
期待値 =(勝率 × 平均利益)−(敗率 × 平均損失)
具体例で見ていきます。損切り幅を1単位として、利益はRR比倍と考えます。
ケース①:勝率60%・RR比1.0
- 勝率:60%(勝ち時の利益は1単位)
- 敗率:40%(負け時の損失は1単位)
- 期待値:(0.6 × 1) – (0.4 × 1) = +0.20
1回あたり0.2単位(損切り幅の0.2倍)の利益が期待できる計算です。
ケース②:勝率50%・RR比2.0
- 期待値:(0.5 × 2) – (0.5 × 1) = +0.50
勝率は半分でも、RR比が2倍ならケース①より期待値が高くなります。
ケース③:勝率40%・RR比3.0
- 期待値:(0.4 × 3) – (0.6 × 1) = +0.60
勝率は4割でも、RR比が3倍なら期待値はさらに高くなります。
勝率が低くてもRR比が高ければ、期待値プラスのトレードになります。
期待値プラスでも破産することがある
ここで重要なのが、期待値プラスでも破産する可能性があるという事実です。
その理由は、連敗の存在です。
たとえば勝率20%・RR比5.0のトレードを考えます。
- 期待値:(0.2 × 5) – (0.8 × 1) = +0.20(プラス)
- 5回に1回しか勝たない
- 10連敗・15連敗が現実的に起きる
連敗中にロットが大きすぎると、1回の勝ちで取り返せないほど資金が減ります。
バルサラの破産確率とは
バルサラの破産確率とは、その勝率・RR比・リスク%で何度も連敗した時に、資金が破産水準まで減る確率を計算したものです。
ナウザー・バルサラというトレーダー・数学者が、勝率・RR比・リスク%の3つの組み合わせで破産確率を表にまとめました。
同じ期待値でも破産確率は違う
期待値が同じ「+0.20」のトレードでも、勝率・RR比のバランスで破産確率が大きく変わります。
上の表を見ると、以下の傾向が分かります。
- 勝率60%・RR比1.0(期待値+0.20):破産確率はほぼ0%
- 勝率30%・RR比3.0(期待値+0.20):リスク2%でも約2%、リスク5%なら25%以上の破産確率
- 勝率20%・RR比5.0(期待値+0.20):リスク5%なら破産水準
同じ期待値でも、勝率が低いほど・リスク%が高いほど、破産確率は跳ね上がります。
勝率・RR比・リスク%のバランス
長期的に勝つためには、3つのバランスを考えます。
勝率を維持する
勝率が極端に低いと、連敗のドローダウンに耐えられません。
勝率40〜60%の範囲を目指すのが現実的です。
20%や30%の勝率でも期待値プラスにはできますが、メンタル的にも資金管理的にも負担が大きくなります。
RR比を確保する
RR比1.0以下のトレードは、勝率がよほど高くないと期待値マイナスになります。
最低でもRR比1.5、できれば2.0以上を目標にします。
リスク%を抑える
リスク%は破産確率に最も大きな影響を与えます。
リスク%を1〜2%に抑えれば、ほとんどのケースで破産確率はほぼ0%になります。
逆に5%を超えると、勝率・RR比が良くても破産リスクが顕在化します。
👉 ロット管理の考え方|損切り幅とリスク額からロットを逆算する
実践での目安
実際のトレードでは、以下を目安にバランスを取ります。
- 勝率:40〜60%を目標
- RR比:最低1.5、推奨2.0以上
- リスク%:1〜2%を超えない
この3つを守れば、破産確率はほぼ0%に抑えられます。
「勝てるトレード」より「破産しないトレード」を優先することが、長期的に勝つための条件です。
よくあるミス
期待値だけ見てトレードする
「期待値プラスだから大丈夫」とリスク%を考えずにエントリーすると、連敗時に大きく資金を減らします。
期待値と破産確率はセットで確認します。
勝率を追いかけすぎる
勝率80%を目指してRR比1以下のトレードを繰り返すと、1回の負けで多くの利益が消えます。
勝率よりも、勝率とRR比のバランスが大切です。
リスク%を5%以上にする
「効率よく増やしたい」とリスク%を上げると、破産確率も急上昇します。
リスク%は2%以下が安全圏、3%を超えるなら相応の覚悟が必要です。
連敗後にリスク%を上げる
「取り返したい」と連敗後にリスク%を上げる行為は、破産への近道です。
連敗時こそリスク%を維持するか、トレードを休むのが正解です。
チェックリスト
- 自分のトレードの勝率を把握しているか
- RR比は最低1.5以上を確保しているか
- 1回のリスク%は2%以下に抑えているか
- 期待値だけでなく破産確率も意識しているか
- 連敗時にリスク%を上げていないか
- 勝率を追いすぎてRR比を犠牲にしていないか
まとめ|長期的に勝つには「期待値プラス × 破産確率ほぼ0%」
期待値と破産確率の考え方をまとめます。
- 期待値:(勝率 × 平均利益)−(敗率 × 平均損失)
- 破産確率:勝率・RR比・リスク%の3つで決まる
- 同じ期待値でも、勝率が低い・リスク%が高いと破産確率が上がる
- 勝率40〜60%・RR比1.5以上・リスク%1〜2%が安全圏
期待値プラスのトレードを続けても、破産すれば終わりです。
期待値と破産確率の両方を満たすトレードに絞ることが、長期的に資金を増やす唯一の方法です。
このバランスが取れると、トレードは確率の世界になり、メンタルにも左右されにくくなります。
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この記事は「環境認識」シリーズの一部です。

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