前回の記事では、S&P500の週足チャートを使って、長期トレンドの押し目・戻り・トレンド転換を整理しました。
今回はその中でも、トランプ政権の関税発言による急落局面(いわゆる「関税ショック」)にフォーカスして、週足・日足・4時間足をまたいで「どこで売り、どこで買いに切り替えるのか」を具体的に見ていきます。
1. 週足:200EMAが示す「大きな押し目」の正体

まずは、いつも通り週足から環境認識を行います。
- 200EMAは長期にわたって右肩上がり → 長期上昇トレンドが継続
- 価格は200EMAを明確に割り込むことなく、その手前で反発を繰り返している
- 関税ショックによる急落も、結果的には長期上昇トレンドの中の「大きな押し目」として機能
ニュース的には「関税で世界同時株安」「リスクオフ加速」と騒がれた局面ですが、
チャートだけを見ると、
「長期トレンドは上。ニュースは、その途中に発生した一時的な乱高下に過ぎない」
ということが分かります。
この段階での結論はシンプルです。
- 週足の200EMAが上向きの間は、基本スタンスは押し目買い
- 「大暴落が来た!」と騒がれていても、まずは大局が崩れているかどうかを確認する
2. 日足:売り優勢から買い優勢に切り替わる「条件」を整理する

次に、週足で赤枠で囲った部分を日足で細かく見ていきます。
2-1. 売り優勢のサイン
- レジスタンスラインで4回頭を抑えられる(上値の重さが明確)
- 高値を更新できず、徐々に高値切り下げが進む
- ネックラインを明確に割り込んで、一気に下落
- EMA25・EMA75・EMA200をすべて下抜け、短期〜中期の流れが売り優勢に傾く
この時点で、週足は上昇トレンドのままですが、
「日足ではいったん戻り売りが優勢な局面」と判断できます。
長期・中期が同じ方向を向いていないので、売りはあくまで「短期の逆張り」という位置づけになります。
2-2. 買い優勢へ切り替わる「3つの条件」
関税ショック後の急落から、日足で次のような流れが現れます。
- サポートラインで反発し、安値を切り上げ始める
- 下落トレンドラインを上抜ける
- EMA25を上抜け、最終的にEMA200も回復してくる
これを整理すると、買い目線に切り替える条件は次のようにまとめられます。
- 条件①:安値切り上げ(ダブルボトムやWボトムなど)
- 条件②:ネックラインの上抜け(直近戻り高値を超える)
- 条件③:EMA25やEMA75を終値で上抜け、傾きも横ばい〜上向きに変化
この「価格構造」+「移動平均線」+「ライン」という複数の根拠が揃うことで、
「日足レベルで売り優勢 → 買い優勢へと環境が転換した」と判断しやすくなります。
3. 4時間足:具体的な売り・買いエントリーと損切り位置

最後に、同じ局面を4時間足で見て、実際のエントリーポイントを確認します。
3-1. 売りエントリーの例(戻り売り)
- 4時間足で、下降トレンドラインが引ける状態
- レジスタンスライン付近まで戻したあと、上ヒゲをつけて反落
- トレンドラインを割った次の足で売りエントリー
- 損切りは、直近戻り高値の少し上に設定
日足では「売り優勢だが、長期は上昇トレンド」という状態なので、
この売りはあくまで短期の戻り売りとして位置づけます。
3-2. 大きなWボトムと小さなWボトム
- 4時間足では、関税ショック後の急落の中に、大きなWボトムが見える
- その中にさらに、小さなWボトムがいくつも形成されている
- それぞれにネックラインがあり、そこを終値で超えたところが「買いのきっかけ」候補
このように、「上位足の押し目」の中を、下位足ではさらに細かいトレンド転換として捉えることができます。
3-3. 買いエントリーの例(トレンド転換後の押し目買い)
- 4時間足で、ネックラインを上抜け
- 一度ネックラインまで戻ってくる(リテスト)
- リテストで下ヒゲ陽線、もしくは強い反発を確認した次の足で買いエントリー
- 損切りは、ネックラインの少し下、または直近安値の少し下
このとき重要なのが、以下のような根拠の積み上げです。
- 週足:200EMA上での押し目
- 日足:安値切り上げ+ネックライン上抜け+EMA25/75回復
- 4時間足:Wボトム完成+ネックラインリテストからの反発
これだけ根拠が揃うと、「なんとなく」ではなく「論理的に」エントリーの理由を説明できるようになります。
4. シナリオ否定条件を決めておく重要性
売り・買いのどちらを選ぶにしても、「この条件を満たしたらシナリオは否定」というラインをあらかじめ決めておくことが大切です。
4-1. 売りシナリオの否定条件
- 日足で、ネックラインを明確に上抜ける
- EMA200を終値で上抜け、その後も上で推移する
- 高値・安値ともに切り上げが継続し、下降チャネルを上抜ける
これらが揃うと、
「もはや戻り売りではなく、押し目買いを考えるべき局面」に変わります。
4-2. 買いシナリオの否定条件
- 日足で、直近の押し安値を明確に割り込む
- 4時間足で、Wボトムの安値を再び更新してしまう
- EMA25・EMA75・EMA200のすべてを再び下抜け、傾きも下向きに戻る
このように「どこで諦めるか」を決めておくことで、
損切りも単なる「痛み」ではなく、シナリオ否定に基づく論理的な撤退になります。
5. まとめ:環境認識からエントリーまでのチェックリスト
5-1. 売り戦略チェックリスト(短期の戻り売り)
- 週足:長期トレンドは上だが、一時的な高値圏にある
- 日足:レジスタンスラインで頭を抑えられ、高値切り下げ+ネックライン割れ
- 4時間足:下降トレンドラインとレジスタンスが重なるポイントで反発
- エントリー:トレンドライン割れ、または戻りの上ヒゲ確認後の足で売り
- 損切り:直近戻り高値の少し上
5-2. 買い戦略チェックリスト(押し目買い)
- 週足:200EMAが上向きで、長期上昇トレンド継続
- 日足:安値切り上げ+ネックライン上抜け+EMA25/75/200の順に回復
- 4時間足:大きなWボトムの中に、小さなWボトムが形成されている
- エントリー:ネックライン上抜け → リテストで下ヒゲ陽線を確認した次の足で買い
- 損切り:ネックライン直下、もしくは直近安値の少し下
5-3. 最後に
関税ショックのように、ニュースだけを見ると「大変な暴落」に見える局面でも、
週足・日足・4時間足を段階的に見ていくことで、
「長期トレンドの中の押し目」なのか、「本格的なトレンド転換」なのかを整理できます。
今回のケースでは、
- 週足:上昇トレンドの中の大きな押し目
- 日足:一時的な売り優勢から、安値切り上げとネックライン上抜けで買い優勢へ
- 4時間足:Wボトム+ネックラインリテストで、具体的な買いエントリーポイントが明確
このように、「環境認識 → シナリオ構築 → エントリーと損切り」までを一連の流れとして捉えることで、その場の感情に振り回されないトレードがしやすくなります。
次回は、今回のような局面も含めて、「トレンド末期で警戒すべきシグナル」をまとめていく予定です。


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