「上昇トレンドだと思って買ったら、そこが天井だった」「下げ止まったように見えて、まだ落ちる」——相場の「今どの局面にいるのか(現在地)」を見失うと、買い目線と売り目線がちぐはぐになり、エントリーもエグジットも判断できなくなります。
本記事では、NIKKEI225(日経225CFD)1時間足の1枚のチャートを題材に、相場が「上昇→天井→下落→底打ち→再上昇」と一巡していく構造を読み解き、「今、価格がどこにいるのか(現在地)」を構造から特定します。
エントリーの解説ではなく、「相場の現在地をどう読むか(環境認識)」を中心に、相場一巡の構造を理解します。前回のGOLD 4時間足の記事(下落が継続する構造)とは対照的に、今回は「一巡して再び上昇へ向かう」局面を扱います。

結論:相場一巡で読むと「今どの局面か」と「現在地」が見えてくる
NIKKEI225 1時間足は、200EMAの上で上昇ダウを形成したのち、Wトップを含む三尊で天井をつけてネックを下抜け、200EMAも割り込んで下落へ転換しました。その後、Wボトムでの反発も200EMAレジスタンスで失速し、200EMA下でトリプルボトムを形成。最後に200EMAを強い陽線で上抜けし、価格は今「トリプルボトムのネックへのリテスト」という、再上昇か否かを試す場所まで戻ってきています。
全体の流れを先に示すと、次の通りです。
- 局面①:200EMA上+上昇トレンドラインで上昇ダウを形成
- 局面②:Wトップを含む三尊で天井、ネック下抜け→レジサポ転換
- 局面③:200EMAを強く下抜け、下降トレンドへ移行
- 局面④:Wボトムで反発も200EMAレジスタンスで再下落
- 局面⑤:200EMA下でトリプルボトム→200EMAを強い陽線で再上抜け
- 現在地:トリプルボトムのネックへリテスト、押し目買いの構え
一巡の構造で読むことで、「今は買い目線へ戻る初動なのか」「どこで反発を確認すべきか」が見えてきます。
なぜ「相場一巡」を構造で読むのか
個々のチャートパターン(三尊・Wボトム・トリプルボトムなど)を単独で覚えても、相場では迷いが消えません。同じ三尊でも、上昇の途中で出るのか、天井で出るのかで意味がまるで違うからです。
- サインを「点」で暗記すると、局面が変わったときに判断がブレる
- 一巡という「流れ」で捉えると、同じパターンの意味を文脈で読める
- 「今は一巡のどこか」を押さえれば、買い目線/売り目線が安定する
判断の軸は2つだけです。1つ目は「200EMAより上か下か」(上なら基本買い目線、下なら基本売り目線)。2つ目は「高値・安値のダウ構造」(ともに切り上げなら上昇ダウ、ともに切り下げなら下降ダウ)。このチャートでも左下に「200EMAより上のため基本買い目線」「高値・安値のダウに注視していく」と明記しています。25EMA(青)・75EMA(黄)は、その内部の勢いと押し目/戻りの目安に使います。
EMAの並び順(パーフェクトオーダー)も補助的に見ておくと、トレンドの強弱が立体的に把握できます。価格が200EMAの上にあり、上から「25EMA→75EMA→200EMA」の順に並んでいれば上昇の勢いが強く、この並びが崩れ始めたら勢いの鈍化を疑う、という具合です。一巡の各局面で、この2軸とEMAの並びがどう変化するかを追っていきます。
局面①:200EMA上+上昇トレンドラインで上昇ダウを形成
チャート左側、価格は200EMA(紫)の上に位置し、右肩上がりの上昇トレンドラインに沿って反発を繰り返しています。
- 安値を切り上げながら高値も更新する上昇ダウ
- 途中の小さな三尊もネックが支持となり、上方向へ反発
- 「200EMA上」「トレンドラインで反発」「高値・安値の切り上げ」が揃う
この3条件が揃っている限り、目線は迷わず買いです。下位足で多少崩れても、上位の構造が崩れていなければ押し目を待つ局面で、ここで安易な逆張りの売りを入れないことが、一巡を読むうえでの出発点になります。
局面②:Wトップを含む三尊で天井、ネック下抜けからレジサポ転換
2-1. Wトップを含む三尊で天井をつける
上昇が続いた先で、価格は高値圏でWトップ(ダブルトップ)を形成し、それを頭とする三尊(ヘッドアンドショルダー)へ発展します。
- Wトップで高値更新の勢いが鈍る
- 続く戻りが前回高値に届かず、右肩を形成
- 「左肩・頭・右肩」の三尊が完成=天井形成のサイン
2-2. ネック下抜けとレジサポ転換
決定的なのはネックライン(直近安値を結んだ水平線)の下抜けです。
- 切り上げてきた安値を初めて明確に割り込む
- 下抜け後、ネックまで戻すリテストが発生
- かつての支持(ネック)が抵抗に変わる=レジサポ転換
リテストでネックを上抜けできず跳ね返されれば、天井形成が本物であった裏付けになり、戻り売りの起点になります。天井のサインは1つでは確定せず、Wトップ→三尊→ネック下抜けと重なって初めて信頼度が上がる、という点を押さえておきましょう。
なお、ネック割れの瞬間に飛びつくと戻りに巻き込まれやすいのに対し、リテストでレジサポ転換を確認してから入れば、損切りラインをネックのすぐ上に置けるため、リスクを限定しやすくなります。「下抜けた事実」よりも「下抜けたあと戻りきれない事実」のほうが、根拠としては強いという感覚が、戻り売りを安定させます。
局面③:200EMAを強く下抜け、下降トレンドへ移行
戻り売りが効いたあと、価格はついに200EMAを強く下抜けします。
- 大局のフィルターである200EMAを割り込む
- 目線は「買い優位」から明確に「売り優位」へ反転
- 25EMA・75EMAも価格の下へ潜り、EMAが下向きに整列
局面①では買いの根拠だった200EMAが、ここからは戻り売りの抵抗帯へと役割を変えます。同じ200EMAでも、価格がその上か下かで果たす役割が正反対になる——この視点が、下落フェーズでの目線を固めます。高値・安値がともに切り下がる下降ダウへ転換し、相場は一巡の後半戦に入ります。
局面④:Wボトムで反発も200EMAレジスタンスで再下落
下落は一直線には進みません。途中でWボトム(ダブルボトム)が出て、戻りを試す動きが入ります。
- 2つの谷で下げ止まり、一時的に反発
- しかし上にある200EMAにレジスタンスとして頭を抑えられる
- 小さなWトップを形成して再び下落へ
ここでの教訓は「200EMAより下にいる間は、戻りはあくまで戻り(売り場)」。Wボトムという反転形が出ても、200EMAを上抜けできていない以上、目線を買いへ切り替えるのは早すぎる、という判断になります。どのEMAで戻りが止まるかを見ることで、下落の勢いの強さも測れます。
局面⑤:200EMA下でトリプルボトム→200EMAを強い陽線で再上抜け
5-1. トリプルボトムで底打ち
再下落した価格は、200EMAの下でトリプルボトムを形成します。
- ほぼ同じ価格帯で3度下値を試し、いずれも割り込めず反発
- 売り圧力の限界=底打ちのサイン
- 下値テストの回数が増えるほど、その水準で買い手が売りを吸収
ただしこの時点ではまだ200EMAの下にあるため、目線は「売り優位だが底打ちを警戒し始める」中立寄りの構えです。
5-2. 200EMAを強い陽線で再上抜け
底を固めた価格は、ついに200EMAを強い陽線で上抜けします。
- じり高ではなく、明確な陽線の実体で突破=買い圧力の優勢
- 大局のフィルターが「下→上」へ切り替わる
- 目線も「売り優位」から再び「基本買い目線」へ
トリプルボトムが「底打ちの形」を、200EMA上抜けが「目線転換の確証」を与える——この2段階の確認がそろって初めて、買い目線への切り替えが正当化されます。局面①の出発点に、相場が一周して帰ってきた瞬間です。
現在地:トリプルボトムのネックへのリテストと押し目買いの構え
ここがこの記事の核心です。価格は今、200EMAを上抜けたあと、トリプルボトムのネックライン付近までリテストしている状況にあります。
- 局面②とは逆向きのレジサポ転換が試される場面
- 上抜けたネックが、今度は下値支持(サポート)として機能するか
- 「200EMAより上=基本買い目線」という大局に戻っている
狙いはシンプルで、トリプルボトムのネックでの反発を確認できれば、そこが押し目買いの好機になります。焦ってリテストの最中に飛び乗らないこと。理想は、ネックでの反発を示す下ヒゲや陽線を確認し、直近の小さな高値を超えて安値切り上げの初動が見えてから動くことです。エントリーは構造の確認が取れてからで十分間に合います。
「なぜ今ここで止まりそうなのか」を、トリプルボトムのネックという根拠で説明できる——これが構造で相場を読む価値です。何となく反発を期待するのではなく、過去に意識された水平ライン(ネック)と、200EMA上抜けという目線転換が重なる場所だから注目する、と理屈で言える状態になります。
これから何を見るか
現在地が「再上昇か否かを試すリテスト」だと分かれば、次に見るべきものも明確になります。
シナリオA:反発する場合
- トリプルボトムのネックがサポートとして機能し、反発
- 直近高値を更新し安値も切り上げれば、上昇ダウへ移行
- 200EMAの上を維持する限り、押し目買いを軸に攻める
シナリオB:否定(様子見)の場合
- リテストでネックを実体で割り込み、再び200EMAの下へ
- 上抜けが「だまし」だった可能性=買い目線をいったん保留
- 「200EMAより下に戻る=買い目線の否定」を機械的な基準に
どちらに転んでも、判断材料は常に「200EMAとの位置関係」と「ダウ構造」の2軸です。シナリオを事前に分けておけば、値動きに対して感情ではなく基準で反応できます。
チャートの読み方まとめ
NIKKEI225 1時間足の1枚から、相場一巡の構造と現在地が読み取れました。
- 局面①:200EMA上+上昇トレンドラインで上昇ダウ形成(買い目線)
- 局面②:Wトップを含む三尊で天井→ネック下抜け→レジサポ転換(天井形成)
- 局面③:200EMAを強く下抜け、下降トレンドへ(売り目線へ反転)
- 局面④:Wボトム反発も200EMAレジスタンスで再下落(戻りの失速)
- 局面⑤:トリプルボトム底打ち→200EMA再上抜け(再転換の初動)
- 現在地:トリプルボトムのネックへリテスト、押し目買いの構え
最も重要なのは、同じパターンを「一巡のどこにいるか」で読み分けることです。上昇途中の三尊と天井の三尊、200EMA上の反発と200EMA下の反発——文脈が変われば、同じ形でも「買い場」か「売り場」かが分かれます。
「200EMAで大局を測る」「三尊・Wボトム・トリプルボトムで流れを追う」「ダウ構造で高値・安値の更新を確認する」「ネックのレジサポ転換で現在地を説明する」——これらの読み方は、日経225だけでなく、どの銘柄・どの時間足でも一貫して機能します。
前回のGOLD 4時間足の記事が「下落が継続する構造」を扱ったのに対し、今回は「一巡して再び上昇へ向かう構造」を扱いました。同じ「構造を読む」フレームでも、継続と転換の両方を読み分けられるようになると、相場の解像度が一段上がります。
関連記事
- 日経225 30分足|下降チャネル内のWボトムから4根拠で押し目買い(同一銘柄・下位足での押し目買い)
- GOLD 4時間足|環境認識:上位足で読む下落相場の構造と現在地(同一シリーズ・下落継続)
- GOLD 1時間足|環境認識:底打ち4サインと上抜け後の押し目買い構え方(同一シリーズ・1時間足の底打ち)
この記事は「環境認識」シリーズの一部です。

コメント